2022年は近年まれに見るほど株式市場が低調な1年間だった。多くの投資家は来年である2023年に株式市場が再度上昇すると期待しているかもしれないが、いくつかの限られた要因によって来年の株式市場の動向が決まる。
昨年までとは変わった地合
すでにマスコミでも多く報道されているが、今年になってから株式市場が低迷している。2020年と21年はコロナ禍にともなってアメリカを初め世界各国が空前の規模で金融緩和を行ったため、株式市場はかつてないほどの勢いで上昇し「コロナバブル」とも言われた。
しかし極端な金融緩和の副作用として多くの国でインフレ率が上昇し、株価よりもインフレ抑制を優先させなくてはいけなくなった。そのため今年からアメリカなど多くの国で緩和を停止して金融引き締めとしての利上げを開始。昨年までの株高の基礎条件であった緩和が行われなくなったため、今年になって株価は低迷している。
主要株価指数は20~30%程度下落
10月時点の主要な株価指数は、最近つけた最高値からどれだけ下がったか見てみよう。ネット上で株価指数の動きを見られるサイトはたくさんあるが、例えばトレード業者のeasymarketsでは無料で株価指数のチャートが見られる。
日本の日経平均は2021年の2月と9月にそれぞれ30,700円のバブル崩壊後最高値をつけた。そして今年10月には27,000円付近で推移しているので、高値から12%ほど下げたことになる。
ただし今年3月以降急激な円安が進行しているので、日経平均は海外投資家から見て割安になって買いが入り、下落幅が抑えられたという事情がある。円安になる前の3月には24,700円まで下がったこともあった。
一方アメリカのダウ工業平均は今年1月の36,900ドルから9月30日には28,700ドルまで23%も下げている。またIT銘柄の多いNASDAQ指数は昨年11月の高値から今年秋までの下げ幅が30%を超えた。
来年回復できるかは金融政策次第
多くの投資家が来年の株価回復を期待しているが、今のところ回復できると断言することはできない。来年株価が再度上がるかどうかは各国、特にアメリカの金融政策が変わるかどうかにかかっている。
アメリカが金融引き締めを止め、再度緩和に転じるようなことがあれば株価が回復する可能性は高くなる。だが逆にアメリカが金融引き締めを続ければ株価は来年も下がる可能性が高い。
そして10月現在でアメリカのインフレは沈静化の兆しが見えないので、金融引き締めは来年も続けられるとの予想が多い。そうなると来年の株価回復は難しいだろう。
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